性格悪い系彼氏


初めてのデート (1/9)







◆◆◆



生田さんとデートなんて、一度もしたことがなかった。



「で、それで喜んでるわけなのね、松浦さんは。普段愚痴ばっか溢すくせに」



昨日の誘われたことを早速佐藤さんに話すと、そんなことを言われた。



「い、いや、別に喜んでるわけじゃ……」

「嘘つけ。平静装ってるけど嬉しそうなオーラ駄々漏れ。なんだかんだで好きなんでしょ、生田さんとやらを」



うっ、佐藤さんの言葉に反論ができない。


そりゃ生田さんのことは、告白とかするタイプじゃない私が告白するほど好きだったのだ。

これだけ酷い仕打ち受けといて、別れたいと本気で思ったりもするのにまだ好きとか、自分が若干気持ち悪いけど。



「まあ、私そういうの偏見ないから安心して」

「え、なにそれ。偏見ってなにそれ。なんの偏見」

「松浦さんがアブノーマルな恋愛してても引かないよってこと」

「いやいやいや、違うからね。私マゾとかそういうんじゃないからね」



変な勘違いをする佐藤さんに慌てて否定する。私は至ってノーマルだ、多分。

悪口言われることに喜びなんて感じたことない。付き合って最初の方なんて、言われる度に傷ついて家帰って号泣してた。

それが今は図太くなってしまっただけの話だ。望んでもないのにね。



「でも、映画代と食事代に交通費って……、結構とられるじゃん」

「いや、プレゼント買うのとそんな変わんないから、それは別にいいかな」

「……私なら絶対やだ。彼氏いないけど。つーか松浦さん、恋愛相談する相手間違ってるからね」



私彼氏いない歴イコール年齢なんだけど、と不機嫌そうに佐藤さんは言った。

結構男子と喋ってたりして、男友達も多いけど、失礼だがモテるタイプではない佐藤さん。

でも交遊関係が広くて浅い私に、気兼ねなく話せる友達は佐藤さんしかいないし。



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