サトシノっ。

 姉、帰る。 1/10 

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「おはよ、紫乃」

「……おはよ」

朝食を食べていると
欠伸しながら入ってきた聡。

その姿を見ただけで
鼓動が早くなってく。



あの日から数日────。



「ヤベ。遅刻するっ」

「聡、バタバタ走らないっ」

トーストを齧って制服を掴むと
慌てて家を出て行った。

「全く。誰に似たのかしら……」

溜め息をつく母さんに
僕は肩を竦める。

「それにしても貴方達
喧嘩でもしたの?」

「え?……別に…」

「早く仲直りしちゃいなさい?」



僕は、聡との距離を
図りかねている。



「あっ、んぁっ」

「チュ……チュ、ッ」

「吸わな、でっ……」

あれから、何度も
肌を重ねているけど。

いや、それを重ねる毎に。



「なー、紫乃ー」

「何。ノックくらいして」

ベッドで見せてる自分を
思い出して恥ずかしくて

「用が済んだら出てって」

どう接したらいいのか……



聡は別に何も言わないけど。

可愛くないよね……



「可愛く、なりたいな」

だけど、そんな方法
僕は知らないんだ。

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