曙を探して
6[教え](1/7)
真面目で素直
正直な人、
彼を知る人は、よく、そう言う。
確かにその通りだ、と思う。
言われたことは、文字通り真に受け、
馬鹿がつくほどに正直過ぎて、嘘やごまかしが解らない。
小さな頃から、ずっと。
物心つく頃には、
同年代の子供の中で、
馬鹿にされ、騙され、
自尊心をズタズタにされながら、
大きくなった。
いつか、解るようになる、との期待も虚しく、
高校も、
その先も、
ずっとずっと。
社会に出ても、
仕事に就いても
繰り返し、繰り返し。
だから、母は考えたんだろう。
この子が、自尊心に傷を受けずに過ごせる場所は無いのか?
この子に、気持ちの良い態度で接してくれる人達はいないのか?
懸命に探して、
でも、事実を受け入れる勇気は無かった母は、
宗教に救いを求めたのだ。
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