僕と君?と 、milk tea。

5.小さな訪問者(1/30)




 
 
『ピピッ..ピピッ..ピピピピピ...』


朝、いつもより1時間早くにセットされた目覚ましの音で目が覚めた。




...お、重いよ、雪白。


今日も寝相の悪い子猫の片腕と片足が僕の身体に巻きついている。




手探りで枕元に置いてある目覚ましを止めて横をみれば、至近距離に雪白の顔があった。

後、ほんの少し顔を近づければ簡単にキスが出来てしまう距離。




内心ドキドキしながらも、もしそんな事をすれば即座に飼い主としての信頼を失い嫌われてしまうのが目に見えていた。




今の関係を壊したくない。...でも、雪白に触れてみたい。


そんなモヤモヤした気持ちのまま、指でプニプニの頬をつついて声を掛けてみた。





「お〜〜い!起きろ、雪白!」


「んん...まだ..眠い...」



寝ぼけた猫は瞼を閉じたまま、僕の首元に顔を埋め胸元に潜り込んできた。


僕の心臓は、今起きたばかりだというのに勢い良く跳ね上がり、ドキドキと激しく脈を打つ。







...ったく、人の気も知らないで。


毎朝の事とはいえ雪白に片思いをしている僕にとって、これは軽い拷問でしかない。

毎朝、襲い掛かりたくなる欲求を押さえ込むのに苦労するんだ。





「ダメだよ、ましろちゃ〜〜ん!今日は、早く起きないといち兄に叱られるよ」




そうなのだった。今日からハロウィンまでの一週間、店で毎年恒例のフェアをするのだ。

店のインテリアやメニューなど、期間限定でお客に楽しんでもらう。


毎年とはいっても、いち兄が店長になった3年前から始まったんだけど。




そして一番厄介な問題が1つ。


いち兄以外の僕達スタッフは、ちょっとした仮装をして接客しないといけなかった。


つまりお客の方もこれを楽しみにしていて、このフェア期間中は僕達の仮装をひと目見ようと、毎年女性客が押し寄せてきて大変なのだった。







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