僕と君?と 、milk tea。

4.ジレンマ(1/7)




 -雪白side-


夕食を食べ終わり、3階に上がった私はさっそく成瀬くんの部屋をノックする。

「あの...雪白です」


どうぞ〜、と中から声がしてドアを開けると、成瀬くんがベッドを椅子代わりに腰をかけて座っていた。




「あ...お邪魔します」


「雪白、俺の隣に座って。大きな声で出来る話じゃないよね?」



成瀬くんに手をつかまれて引き寄せられ、二人でベッドに腰をかけて並んで座らされた。

と同時に成瀬くんの腕が私の肩におかれる。



「偶然ってあるんだね?雪白にまた会えるなんてさ。

驚いたよ、俺!」



成瀬くんが嬉しそうに私の顔を覗き込んでくる。




...顔が近すぎて..困る。


私は成瀬くんの顔が見れなくて、下を向きながら話を始めた。





「あの...成瀬くんに頼みがあるんだけど」



「...うん。分かってるよ、雪白。

君が本当は女の子だって事は、誰にも言わないから!

...ここを追い出されたら、行くとこないんでしょ?」




「え...う、うん。ありがとう、成瀬くん」



...良かった。やっぱり私の秘密を黙っててくれるみたい。





「ねぇ、一つ質問していいかな?

あの琉風って人と、どういう関係?」



....どういう、って聞かれても困る。

何だろ?私と琉風さんの関係って...?


ただの同居人?仕事仲間?....何か違う。



返事に困った私は、ようやくある事を思い出した。







「...ただの飼い主と、...飼い猫?」



「な!何なんだよ、それ!!

....分かった。じゃあ俺、立候補する!」





心配してくれるのはありがたいけど、成瀬くんじゃ何となく嫌だった。

私は、思ったことを素直に話してみた。



「飼い主は...琉風さんでいい」



私の肩に置かれた成瀬くんの手に力が入り、もう片方の手が私の顎を持ち上げた。


上を向かされると、目の前に成瀬くんの顔がある。

そしてそのまま横からグッと抱きしめられてしまった。



「やめ.....成瀬..くん」



...もう恥ずかしくて、どうしたらいいのか分からない。

すぐに、ここから逃げ出したい気分になる。





「ちがうよ、雪白。

雪白の彼氏に立候補する...って意味だから」






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