「 てめっ、一口っつったろ 」
「あーつーいー」
「いちいち、うっせェな」
ぶぉーっ、と鈍い音で回る扇風機。とその前を独り占めする私。
「ねぇ、クーラー付けてよ」
「あ?じゃあ、お前修理費出せ」
私の隣でだるそうに胡座をかくこいつ。右手に団扇、左手には缶ジュース。
「ていうかさ、」
「なによ」
「お前んち行けば良かったじゃねェか」
クーラー付いてんだろ?
団扇をパタパタさせるこいつの太い首筋に伝う汗が1つ。
「私の部屋汚いから嫌」
「どんな理由だよ」
俺の部屋も汚ねェよ、とだるそうに団扇を動かすこいつ。
「あんたがクーラー壊すから悪いんだよ」
「だーから、俺は壊してねェよ」
てか扇風機独り占めすんなよ、と扇風機の首を回す。
「「…………………」」
‐ミーンミンミンミンミン…
「あぁー…」
アイス食おうぜ、と隣に寝そべるこいつは、
「俺起きれないから取ってきて」
と私をパシリに使う、お決まりのパターン。
「はいはい」
と私は部屋から出て、リビングにある冷凍庫を開けてアイスを取り出す。
一袋に二つアイスが入った物を選ぶところに、あいつはやっぱり優しいなと笑みがこぼれた私。
「おい、まだかよー」
部屋から叫ぶあいつの声。…………やっぱ、前言撤回。
← → bkm
⇒作品レビュー
⇒モバスペBook
[編集]
back