1/14 D旅立ちの前 † 熱い…、熱い…、熱い…―。 カラダの中で、よく分からない何かが 蠢いているような、そんな感じがする。 「っ…―。うぅっ…。」 漸く意識を取り戻したサクヤは 軽く呻きながら、薄らと目を開けた。 まだ幾分か、意識が朦朧としている。 ボーッと、見慣れた天井を見つめていると カラダに違和感を感じた。 熱っぽく少し気だるい。 あれ? …アタシ、風邪ひいたかな? 「…起きたの?」 寝起きでボーッとしているサクヤに 可愛らしい声が問いかけてくる。 サクヤは声の主を見詰めると頷く。 「…今迄の事、覚えてる?」 心配そうな声色で問いかけられ サクヤは、ゆっくりと今迄の事を思い出し始め…―。 . |