雨音が窓をつたう
[●プロローグ●](1/1)
雨の音が窓をつたう。

このまどろむ旋律は休みの朝であれば、なお心地がいい。

夕べ遅くから降っていたのだろう。そして今は上がりかけているらしい…気配を感じる。暗闇と朝に焼けていく空の、大気の色。

しっかり閉めたカーテン越しにも感じ取れる世界の始まり。
これからしっかりと朝がやってくる前に、目が覚めて
勝ち誇ったような、負けたような、そんな気分に浸りながら、両手で顔を包み込み、ぎゅっと力を入れる。
今日は仕事だった…?
休みか…?

暗がりと温もりを追うように…“今日は休み”と感じ取った。
このまま昼までごろごろしていたら気持ちも伸びるだろうな、そう思いながら、ごろんと体を猫のように、気まぐれにくねる。
その手に当たる障害物もなく、大きな枕の下に手を突っ込み、抱え込み、このまどろんだ意識を抱き寄せる。

さすがに昼近くまでまどろむと、逆にボーっとして気分を重くする。
今日の予定は、ない。
ほとんど予定らしい予定なんて。この、思考の自由なこの時間。
今は忘れているうっすらとした甘い官能の想い。

目を閉じて、じっと、じっとしていると訪れる、その官能の想いの、電気が走るように疼き出すこの瞬間。性の内臓が一瞬弾かれるような、狂おしい甘い戦慄の疼き。 。。

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