ほんとに、ごめんね。
 ほんとに、ごめんね。 (1/1)
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僕の最愛の人は
今、目の前にいる人じゃない。

「鈴斗(りんと)っ、花火上がっちゃうよっ」

僕の目の前で白にピンクの浴衣を着て屈託のない笑顔を僕に向ける彼女じゃない。


『鈴斗、早くっ』


そうだ、黒い浴衣を着た彼女だ。

「鈴斗?」

「あ、ごめん、行こっか」


いつまで、引きずるんだろう。


「鈴斗の手、あったかーい」

『鈴斗の手、冷たいね』


僕らが手を繋いだ瞬間上がった
大きな花火。
あの時君は、僕の耳元で


『好きよ、鈴斗』


と、囁いた。
思い出しただけで
熱を帯びる頬が憎い。


「…僕も好きだよ」

「ん?」

「あ、いやなんでもない」

「あは、鈴斗の顔真っ赤ー」


僕の赤く染まった頬みて
笑う君は、可愛い。

でも、

「ほんとに、ごめんね」

「え?花火で聞こえないよー」

もう少し、この頬の熱の余韻に
浸らせてください。


『好きよ、鈴斗』


最愛なる、君へ。




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