渡りの果て 前編

 020 ひろの夢 1/20 

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沖田君が帰ってきてすぐ、叔父さんが来た


「おい、田中!」


「はい?」


「ちょっと俺の部屋に来い」


「はい」


「僕も行きますよ」


「お前はいい、田中と話したい事があるんだ」


沖田君は不思議そうに見てるけど、私だけって事は、今朝の寝坊の件でお叱りを受けるのでは無いらしい


じゃ、行って来るねと、部屋を後にする


叔父さんの部屋は相変わらず書類の山で、墨と煙管(きせる)の匂いが籠(こも)っていた


「で、今日お前に聞きてぇのは、お前の夢についてだ」


「夢?」


斎藤君の刀の話も唐突だったけど、叔父さんもまた唐突だなぁ・・・


「ああ、志とでも言うかな

やりてぇ事あったんだろうが、時渡りしてできなくなったんじゃねぇか?

お前の成し遂げたい夢について、聞かせてくれりゃ、それに近い仕事、探してやれるかしれねぇしな」


あ、なるほど!


早く自分の食いぶちを何とかしなくちゃって事か!


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