傷つきたがりピエロ
[カカオ95%な恋](1/26)

カカオ95%な恋



『今日、夕方家に行っていい?』


新太くんからラインが来たのはそれから4日もたってからだった。ずっと音信不通だったのに、電話とかじゃなくていきなり訪問希望とか勝手過ぎる。


『夕方は無理。バイトなの』


『あれから紺野くんと話した?』


あれから?アキから電話がきた時部屋に新太くんがいて、不機嫌になって揉めた時か。


『話してないけど今日バイトでシフト一緒』


自分はお兄ちゃんと何があって明け方に帰ったのか教えないくせに、人のことは聞いてくるんだから。


『今日、高校何時に終わる?迎えに行くよ』


『バイクで?だめだよ。制服で2人乗りしてるの先生にバレたら困る』


『じゃあ電車で行くから』


分かっちゃいないよ、この人。自分の王子様度合いを。


こんなイケメンが校門の前で私を待ってたら、友達からの質問攻撃に耐えられる気がしない。


『今日は終業式だから午前中で終わりなの。昼前には帰れるからうちで会おう』


『了解』


明日から夏休み。新太くんの大学も同じ頃だろう。だからどこに遊びに行くかの相談ではないよなぁ。


文面からだけでも、あまり楽しそうな用事じゃないのは伝わる。新太くんの悩み相談っていえば、大抵彼氏とのなんちゃらかんちゃらだったけど、女好きのマネージャーとは永遠に進展はないわけだし。一体なんなんだろう


でも、どんな理由でも私に会いに来てくれる。それだけで嬉しい。


集会の校長先生の話もろくに耳に入らず、帰り時間を待ちわびた。



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