wrt7[My assistant](1/20)
「か、係長何処へ行くんですか?駅そっちじゃ…」
少し前を、無言で歩く緒方係長の背中に声を掛けた
「………あるか?」
背中越しで係長の小さな呟きが聞こえなくて…私は少し二人の間の距離を縮めた
「すみません、よく聞こえなくて…」
近付いた私の方に、係長が身体の向きを変えた
「少し話しがしたいんだ…
悪いけど今から時間はあるか?」
その表情は真剣そのもの
有無を言わせない態度に私は頷くしかなかった
「あ、はい」
「家にはすぐに連絡しておけ?手短にはするから…」
二人きりで夜の街を歩くのは、あの泣いていて食事に行って以来だった
“これがデートだったらいいのに”
私は勇気を出して隣に並んで歩いた
係長の歩幅が、私のそれに合わせてくれている
ただ、それだけで私は幸せな気分になった
さりげなく、車道側を歩き守るように距離を取る
一言も、口には出さないであくまでもさりげなく
今日も係長は心愛ちゃんに対しても、目線を合わせて話していた
一見、厳しくてマイペース…その言動から人の話を聞かない人だと思われがち
けれど、佐々木補佐とは違う厳しさで緒方係長は私を育ててくれている
- 84 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり
⇒作品レビュー
⇒モバスペBook
[
編集]
[
←back]