wrt3[受止める背中](1/19)
「誰かいるのか…?」
「ひっ!」
突然、声を掛けられて死ぬ程驚いた
「……古城、お前なんて声出すんだよ!脅かすな」
「お、緒方係長…
お疲れ様です」
「あ、あぁ…お疲れさん」
ちらっと私の様子を見てその後、係長は無言で視線を外した
私の涙に気が付いたはずなのに
「…お先に失礼します!」
居た堪れなくて、係長の横を通り過ぎようとした瞬間
「古城!」と、緒方係長に
腕を掴まれた
「あ、あの…」
もう、涙顔なんて構ってはいられない
化粧は落ちまくり、きっと今の私は酷く不細工に違いない
何故掴まれたのかわからないまま、私の腕からほかの箇所へ熱はどんどん広がっていく
「「…………」」
まっ赤になる私と、多分
無意識に私の腕を掴んでしまったらしい係長…
ぱっと、視線を外したまま双方ともどうしたらいいのか途方に暮れる
「あの…」
勇気を出して、もう一度
係長に声を掛けた
はっ!と、我に返った緒方係長は一言私に呟いた
「古城?腹減ってないか」
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