電車花子

 電車の花子さん (1/1)
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俺は嘘つき。




君に話しかけた理由なんて

いい匂いがしたからでも
顔がタイプだったからでもない



同じバンドが好きだったというのも
実はただの言い訳


気がついたら、話しかけたくてしょうがなくなってた。それだけなんだ。




―――「俺もそのバンド好き!」


なんて、普通だったら間違いなく不審者だ。



まあ結果的には仲良くなれたからいいけど





でも俺には、1つ激しく後悔していることがある。




――「俺たち、いい友達になれると思わない?」



あぁ、これじゃあ半年たった今でも友達止まりなのなんて、当たり前じゃないか………





もし君に直接


「ほんとに好きなんだ…いや、むしろ愛してる。」




こうやって言えたらどんなに楽なんだろう?


あの時の友達発言が
俺にブレーキをかけている


素直に「好き」を伝えて、下心があって君に近づいたとバレるのが怖いんだ。






「俺、次で降りるわ」





―プシュー


電車が行った後に
俺は今日ついた嘘のことを考える。



ほんとは聞こえてた



――――「悠さんといたら、また心臓痛くなっちゃう。」



ねぇ、それってどういう意味?
友達から抜け出せるよって言ってるの?




俺は嘘つきだから


君に直接聞くことなんで出来ない



俺は嘘つきで弱虫だから。






(あ、またチケット渡すの忘れた。)




俺たちを繋いだバンドのチケットが手に入った。




真っ先に浮かんだのは君の顔で




(チケットに好きって書くのも有りかな…)




(とりあえず、友達脱出してぇ……)



俺は、これからどれだけの嘘を重ねて君に辿り着くのだろうか



(end)



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し お り
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