トップランカーの狂った日常〜異世界召喚犬卓〜
[1.異世界](1/1)
「はあっ!!!!!」
気合のこもった声と共に放たれた矢は使い手の魔力を乗せ、視認することすら困難なスピードで空を駆けていく。
その殺気に気づいた巨大な化け物がこちらを向き、しかし、もう遅かった。
圧倒的火力を秘めた矢がボスの脳天を貫き、化け物の命を―3日間に渡る、過去最大規模のイベントの終わりを告げた。




「ふう
真っ暗な部屋の中、3つのディスプレイの前で部屋の主、櫛笥 紅実―ボスのLA(ラストアタック、特別ボーナスが用意される)を獲得した弓使い―は大きな溜息をついた。ディスプレイには、
3日間おつ〜」
「ほんと助かったわ、弓さんthx
「ほんとチートだろ。さっさと正体明かせよ」
「秘密チャット)ぜひうちのギルドに!」
など、紅実へ対する労い、嫉妬、ギルド勧誘などの言葉がチャット欄を埋め尽くしていた。
紅実は適当にそれらを捌きつつ、時計を見る。

「ん…4
シンプルな掛け時計は既に午前4時を指している。ご飯や仮眠などを除いた3日間実に63時間、紅実は入れ替わりで来る野良の味方と共に死闘を制した。

紅実が1人で与えたダメージは実にボスの体力の5割。フル装備のガチギルドが総力を上げてかかって4割削ったのだから、どれだけ紅実のキャラ性能やスキル回し、PSが突出しているかがわかる。

「流石に疲れたんん
紅実は机に置いてあったウ〇ィダーを飲み干し、いつもより6時間マシマシで寝ることを決めた紅実は、ベッドに痩せ気味な細く軽い体を投げる。

(明日はゆっくりしよう)
そのささやかな願いは、叶うことは無かった。






目を覚まされましたか、『勇者様』方。」





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