西暦2018年
[夜更けと夜明け](1/4)
初めはうだうだ言っていた要だが、弟たちの眠そうな様子を見て、仕方なく動いた。
ものの五分でリビングは寝室へと早変わりし、五人は川の字に寝転んだ。
「あぁー、疲れた」
「てかさ、めっちゃ眠い。おやすみ!」
陸はそう言ったのを最後に、静かな寝息を立てた。
同じように他の四人もかなりの睡魔に襲われていて、要と玲音もすぐに寝に入った。
それでも母と父は眠らずに起き上がると、陸、要、玲音の顔を眺めた。
「これが最後なんだよね。こいつらの寝顔が見れるのも」
「そうだね。……母さん――恵子は、怖い?」
光樹の言葉に、恵子は母親の顔で首を横に振った。
「いーえ! 全っ然! だってさ、最後に一緒に寝れるんだもん。恐怖より嬉しさの方が強いね」
「うん。俺もだよ。懐かしいよな、こうやって寝るのは」
恵子と光樹が話してる間、バブルは少しずつ布団へ迫っていた。
「にしてもさ、不思議だよね。この、バブルだっけ? 何で停電とかにならないんだろ?」
「さぁ? そういうもんなんじゃないかな?」
「そっか。……そろそろ寝よっか」
「ん、そだね」
二人は、自分達の大切な『川』を挟むように横になると、静かに目を閉じた。
バブルは、待ってましたと言わんばかりの勢いで、一瞬にして羽田野家を飲み込んだのだった。
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