浮気ダメ絶対
[act2](1/1)


 学秀の手が俺の服を剥いでいく。乱暴な手つきからしてドタキャンされてイラついてるのだろう。今日は多分寝かしてくれない。明日、学校なんだけどな。まあ、いっか。

 「カルマ」

 熱を孕んだ声で俺の名を呼ばれれば、それだけで天にも昇りそうな程に幸せだった。適当な愛撫、キスもない。それなのに、幸せだ。
 いつも慣らしたりなくて挿入されるときは酷い激痛が伴う。でも、もう慣れたし、感じてるふりして我慢できる。

 「ぅあ……っひ!」

 ぎゅっとシーツを握りしめて激痛を逃す。学秀に縋らないのは痕をつけないため。俺の身体にはいくつもの学秀がつけたキスマークがあるのに、学秀の背中には女の子がつけた爪痕がある。学秀はそれに気付いていない。

 「……痛かったか?」

 すり、と涙が滲んでいる俺の目元を指で拭う。心配しているような言葉をかけられれば痛みなんかすぐに消えてしまう。

 「へーき、だから、はやく……して?」

 媚びるような声を出せば学秀は満足そうに笑みを浮かべて、容赦なく奥を突き上げる。シーツを握りしめても逃しきれない快楽に身体をしならせ、髪を振り乱す。抑えきれない喘ぎ声はまさに淫乱な雌のものだ。

 「ぁぁあ!ひっ、ぅあ!」

 快楽に腰が揺れる。もう何度絶頂したかわからない。涙で視界が歪んで学秀の顔が見えない。がくしゅう、がくしゅう、と喘ぎ声の合間に馬鹿みたいに繰り返しても望んだキスが落とされることはない。
 今夜はやっぱり機嫌が悪いみたいだ。いつもは時々名前を呼んでくれるのに全く呼んでくれない。ベッドに押さえつけられた手首が痛い。きっと明日には痣になってる。

 「んぁっ!や、も、やら」

 制止の声は聞き入れられない。ぐずぐずと鼻をすすり、ばたばたと足をばたつかせても意味はない。ぜーぜー、と息を吐いて度を越した快楽に苦しみを感じ始めても学秀はやめてくれない。
 
 「くるしっ、も、むりぃ」

 抵抗する体力さえなくなってただ身体を揺さぶられ続ける。苦しい、苦しい。でも、幸せを感じている自分がいる。むりだ、と言ってももっとしてほしい、と思っている自分がいる。

 「かるま」

 「っ!……ぅぁぁあ!」

 限界を感じて意識を手放そうとした時、耳元で名を囁かれる。俺はそれだけで呆気なく達する。苦しくてもう達したくない。それなのに、身体は正直だ。名を呼ばれるだけで意識を手放すこともできなくなってしまう。

 ずるいよ、学秀。

 結局、朝まで解放してくれず、俺はその日学校を休むハメになった。学秀はちゃんと遅刻もせずに出席した。



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