浮気ダメ絶対
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 あいしてよ。







 学秀が浮気していると知ったのはもう三ヶ月も前のことだ。いや、浮気なんかじゃない。俺が遊びだったんだろう。ちょっと優しくされただけでコロッと落ちた俺は都合の良い性処理の相手だったのだろう。
 でも俺は、それでもいいからあいつのそばにいたい、と思うくらいにはあいつに依存している。
 今日も、本当は一緒に花火を見るはずだった。でも、隣に学秀はいない。ベランダでただ何も思わず花火を見つめる。花火を綺麗だと思ったことはない。イルミネーションを見ても綺麗だと思ったことはない。綺麗だと思ったのは学秀の宝石みたいな瞳だけ。
 ヴヴン、とポケットの中のスマホが震える。一件のLINE。「今日はすまない」。うるさいよ。きれーな女の子のとこに行った癖に。ムカついたけど嫌われたくないから「大丈夫だよ〜」って送った。
 
 馬鹿みたいだ。








 気付いたら眠っていた。ベランダで。起きたら花火は終わっていて、隣に学秀がいた。夢かと思ったが現実らしい。

 「お。起きたか?こんな所で寝たらダメだろう。寝室に行こう」

 「……なんでいるの」

 「ああ、用事が早く済んだから来たんだ。迷惑だったか?」

 ふるふると頭を振ると、よかった、と大きな手が髪を撫でる。きっと女の子に急な用事が入ってしまったのだろう。それで、暇だから俺のところに来た。それだけ。それだけなのに、嬉しい。俺のもとに来てくれたことが嬉しい。

 「なあ、抱かせてくれ」

 「……ん、いいよ」

 学秀に抱いて貰っている時はどうしようもなく幸せな気持ちになれた。今だけは学秀が俺のもの。俺のことしか考えてない。少しの間だけど幸せだった。
 
 愛されている、と錯覚できた。




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