輪廻亭オカルト事件簿
[妖刀戊(ようとうつちのえ)](1/10)
神子はテレビのニュースを見ていた。
「続いて奈良で起こった連続吸血斬殺事件についてお伝えします・・・」
ニュースキャスターがそう言って暗い表情でニュース原稿を読み上げる。
「昨日、4人目の被害者が出ました。被害者はこれまでの事件と同様に日本刀のような刃物で殺害され、さらに全身の血液が抜き取られていました。犯人はいまだ見つかっておらず・・・」
ニュースキャスターは淡々と原稿を読み上げている。
「物騒な事件だね。晴明はこの事件、どう思う?」
神子はテレビから目を離さずにそう尋ねた。
「それは「怪異がらみの事件だと思うか」という事ですか?神子様」
晴明は神子にそう尋ね返した。
「そう。それでどう思った?」
再び神子が尋ねる。
「答えは、「わからない」です。人間の血を吸う怪異は確かに存在する。でもこの事件の被害者は血を吸われてはいるものの、その前に斬り殺されている。日本刀で殺すという部分だけ見ると人間のしわざのように思えます」
晴明は神子の問いにそう答えた。

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