「鈴村先輩!好きです!」
ああ。これで何回目だろう。今日は一個下の後輩からか。
なんて呑気なことを考えながら、目の前で顔を真っ赤にするひとりの女子を見下ろす。
小柄で、短くてふわふわのパーマのかかった髪を耳にかけながら恥ずかしそうに俺を見る彼女。名前は、矢島奈菜。軽音部の後輩だ。
「うん」
俺はその子を見下ろし頷いた。すると彼女は困った顔をして「うんって…」と不満げに言った。そんな彼女に
「だからさ。付き合うんでしょ?」
と言うと、彼女は「えっ!?」と声をこぼし、俺を見上げる。
「よろしくね?矢島さん」
俺はニコッと笑ってみせた。
【愛してない】