短編作品


愛してない(1/9)




「鈴村先輩!好きです!」

ああ。これで何回目だろう。今日は一個下の後輩からか。

なんて呑気なことを考えながら、目の前で顔を真っ赤にするひとりの女子を見下ろす。

小柄で、短くてふわふわのパーマのかかった髪を耳にかけながら恥ずかしそうに俺を見る彼女。名前は、矢島奈菜。軽音部の後輩だ。

「うん」

俺はその子を見下ろし頷いた。すると彼女は困った顔をして「うんって…」と不満げに言った。そんな彼女に

「だからさ。付き合うんでしょ?」

と言うと、彼女は「えっ!?」と声をこぼし、俺を見上げる。

「よろしくね?矢島さん」

俺はニコッと笑ってみせた。










【愛してない】



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