かけてはいけない電話番号
山田栄華(1/13)
朝が来た。カーテンの隙間から差し込む朝日や小鳥のさえずりはいつもと変わらない。いつもと違うと言えばそれは、朝を迎えた場所のことだろう。
私は隣で眠る桃香を眺める。ここは桃香の家。昨日は桃香が心配で泊まることにしたのだった。
携帯を見るとメールが3件届いていた。ひとつは大学の友人から。もうひとつは友田さん。あとひとつは栄華さんだった。私は順番に目を通していく。
「希衣?起きてたの?」
目を擦りながら起き上がる桃香。
「うん」
私は携帯を閉じて返事をする。
「朝ごはん、どうしよっか。ホットケーキミックスあるから、ホットケーキ焼こうか?」
「うん。ありがと」
布団から出てキッチンに向かう桃香に続き、私も立ち上がり布団を片付け始める。
次第に部屋中に甘い香りが広がり、私のお腹もくうぅと音を鳴らした。
それが聞こえたのか桃香はふふっと笑い、
「なんか、不謹慎だけど楽しいや」
と言った。私は壁に立て掛けてあった折り畳みのテーブルを広げながら、ちょっと複雑な思いで桃香の言葉を聞いていた。
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