伝統の重み (1/40)
それから3週間が過ぎた
結局、唯先輩のリサイタルに同行してくれる相手は見つからず、もったいないが一人で行くことにした
早百合にも連絡したのだが、その日は大学の友人たちと旅行に出かけているらしい
余った招待券は捨てるのももったいないので、記念に取っておくことにする
いよいよ団初の試みとなる全体合奏と追いコンが明日に迫っている
それに備えたのか、ウォームアップに楽器を吹きに来る先輩方が増えた
(よし、やるか)
一方のあたしたち1、2年生は卒業式の演奏に向け、練習を始めている
ただ、体育館のステージがあまり広くないことから人数は30名程度で、との指定が来た
そのため、あたしのパートは卒業式と入学式で乗るメンバーを分けた
そして早速パート練習を入れてみたのである
全体合奏の次の日からは1週間ほどの春休みに入るため、ある程度やっておかなければならないと思ったからだ
「パート練始めるよ」
「「はい!」」
「カンタベリーから」
卒業式に乗るトランペットメンバーはあたし、美枝子、将道、桃子、吉弘、久美の6名だ
それ以外のメンバーは入学式に乗る
しかし、光輝が入学式に参加できないらしく、あたしと美枝子が助っ人でこちらも乗ることになった