人生の節目 (1/31)
定期演奏会も終わり、年が明けた1月上旬のことだった
ある日の放課後、学館(学生会館)3階の第一集会室には吹奏楽団の1〜3年生の団員が集まっている
パイプ椅子が10個ずつ5列に2ブロック、合計100個並べられている
全団員揃っている訳ではないので、空席もちらほらできていた
卒論がいよいよ大詰めとなる4年生は任意であるため、約10名ほどしか来ていない
“それでは、時間となりました。ただ今より3年生の引退式を始めます”
今日は新幹部、新パートリーダー、新係長のお披露目を兼ねた3年生の引退式である
“まず始めに、新幹部の紹介をさせていただきます。団長は私、理工学部2年の大木 優太です。よろしくお願いします”
左側でマイク越しに話していた優太がそう言ってお辞儀をすると、団員から拍手が起こった
昨年副団長を経験していないにも関わらず、選挙で団長に当選するというミラクルを起こした人物である
あたしも同じ状況で立候補したが、あえなく落選した
団長を狙って立候補していたため悔しかったが、今は彼を認めている
“続きまして、副団長及び学指揮の紹介です”
優太の隣で椅子に座っていた副団長4名と学指揮4名が前へ出た
“まずは副団長です。経済学部2年、加藤 晴美”
「はい!」
晴美は返事をして一歩前に出ると、「よろしくお願いします」と頭を下げた
彼女は前年から引き続き、副団長を務める