蓮のウタ
♪[初めてのウタ](1/6)
主人公、蓮(レン)の、衝撃的な物語のプロローグ
とても蒸し暑い日だった。
セミの鳴き声がうるさくて、とにかく早く家に帰りたかった。
夏休みだというのに、補講だかなんだか知らないが、自分だけ、小学校に通う毎日にうんざりしていた。

少女の名前は、蓮。
11歳。
小学校5年生だ。
みんなには、チビだのバカレンだの呼ばれている。
身長は小さい。背の順も1番前だ。
何故バカと呼ばれているかは、自分でも予想がつく。

「私は誰ともしゃべらない」

蓮は、頑なに他人と話すことを嫌っていた。

きっかけは、思い出したくもない。

小学校も休みがちで、担任が心配して、夏休みならみんながいないからと補講をしてくれているのだ。

大きなお世話だとも思ったが、とにかく今のままだと私立の中学校に進学できない。

このまま公立の中学校に進学すれば、顔も見たくないクラスメートたちと同じ中学校に通うことになる。

「沢山勉強して、東京の私立に行くんだ」

それまでの辛抱。あと1年ちょっと我慢すれば、この暗闇から解放される。

蓮は、背中のランドセルの重みを恨みつつ、家までの坂道を登った。

そんなときだった。

公園のブランコに座りながら、歌っている女の人に出会ったのは。

蓮のこの先の人生を変える、瑞希との出会い…

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