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第10章.
メイド大ピンチ(1/19)


***


なんだかんだあったが、なんとかまた平凡な毎日を送っている。


でもあの時は、不覚にも少し感動した。


みんな不器用ながらも、私の事を受け入れてくれてるんだなぁって……


「おい、邪魔」


前言撤回。


「なっ……」


しみじみと廊下を掃除していた私に、生意気発言の健。


こんなに広いのに、どこが邪魔なんだか。



「あれ?どっか行くの?」


「いや、黒川さんがリビング集まれって」


「またか……」


今度は何だと思いながらも、仕事を中断し急いで向かう。



リビングに着くと、既に他の3人は現れていた。


今回は寝起きじゃないから、不機嫌では無さそうだ。



「何ですかね。また学級委員だったりして」


「俺もうやらねぇからな」


智とそんな冗談を言っていると、ドアが開いた。



「どうぞ、お入り下さい」


黒川の声がして、みんなが振り返る。


黒川の隣には、茶色の巻き髪に真っ白な肌。くりくりの目。


ふわふわとした雰囲気の、可愛らしい女の子が居た。



「皆様、ご紹介します。今日から立花様とメイドの仕事をしてもらう、中嶋珠稀(ナカジマタマキ)さんです」



とにかく可愛い……人形みたい。


女の私でも、そう思う程だ。


私なんかより全然メイド服も似合いそうだし。


思わず見とれていると、ついに女の子は口を開いた。


「初めましてぇ、珠稀ちゃんでぇす。よろしくにゃんっ!」




……へ?!


その甘ったるい声に、耳を疑う。


珠稀ちゃん?にゃん?



一瞬耳がおかしくなったかと思ったよ。


これは....あのお騒がせ女、坂之宮薫を超える危険人物だ。


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