MOST!


第5章.
かき氷よりキミ(1/12)


***



ゆらゆら、ゆらゆら。


「……おい」



ん?ゆらゆら?


身体が揺れてる?



それに、さっきから誰かに名前を呼ばれているような気がする。



「……まだ起きねーのかよ」


「……みたいだな」



微かに聞こえる会話に、意識が段々とはっきりしてきた。



「死んでんじゃねーの?コイツ」


え?死んでる?


私、死んで……


「い、生きてる生きてる!」


そう叫んで、慌てて飛び起きた。



「あ、起きた」



目の前には、例の4人兄弟。



「えっ?ここ、どこ?」


見渡すと、黒いソファーに大きなテレビ……


どこかの部屋のようだ。



「ここ?車の中だよ」


翔が、笑って答えた。


「もう少しマシな冗談言って下さいよー……」


「いや、ホントに」


「え、これが車?」



なかなか信用しない私を、健が自分の方に引き寄せて言う。


「ここに窓あるだろ」



窓が開くと、私は遠慮がちに窓から顔を出した。


「何この車、長っ!」



普通の道路を走っては、迷惑なのではないかと思う程だ。長すぎてちゃんと曲がれるのかすら心配。



「で、どうして車に……?」


恐る恐る聞いてみると、智が訳の分からない事を言う。


「今、夏だろ?」


「うん」



ん?だから何だ……!



「夏と言えば?」


「え、何いきなり」


乗り気でないあたしを見て、智は眉間に皺を寄せた。


「海だろ、海!」


「はい?」


いつも冷めている智が、珍しく熱いのは気のせいだろうか。


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