[･＊ｼﾞｭﾆｱ＊･](1/26)
次の朝、まだ気だるさの残る体に鞭打って朝ご飯の支度をする。
「奏夜さんは事務所には、車で行くんですよね？」
「ん。本当は姫菜も一緒に連れてってやりたいんだけどな」
「いえ、気にしないで下さい」
一人前になって、堂々と奏夜との関係を言えるようになるのはいつだろう……
ちゃんとｲﾍﾞﾝﾄが終わるまで、ﾊﾞﾚずに済むのかな……？
そんな不安もあったけれど、今は不安より楽しみな気持ちの方が勝(ﾏｻ)っていた。
「姫菜、仕事の時はあくまで事務所の先輩と後輩だ。他の後輩と同じように接する事になる」
「分かってます」
当たり前なんだけど、やっぱりちょっと寂しいな……
「そんな顔すんな。今、周りにﾊﾞﾚる事は姫菜にﾌﾟﾗｽにならない。少しだけ我慢……な？」
奏夜は少し困った顔をしながら、私の頭をﾎﾟﾝﾎﾟﾝと軽く撫でた。
私の事を考えてくれてるその気持ちが嬉しかった。
「あっ、そろそろ行かなきゃ！」
「もうそんな時間か。俺も出なきゃな。車の方が時間かかる時もあるし」
事務所なら歩いて行けるし、車だと駅近くの道路の混み具合によっては徒歩より時間がかかったりするみたい。
それでもすぐ次の仕事に向かわなくてはならない奏夜は、いつでも車での移動が主だ。
「じゃあまた後でな」
「はい」
軽くｷｽを交わし、それぞれ事務所へと向かった。
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