[･＊STORY･6＊･ ](1/16)
残り2日はﾗﾌﾞﾎﾃﾙに行く事はなかった。
1日は奏夜が仕事で来れず自主練習。
最終日は事務所のﾄﾚｰﾆﾝｸﾞ室で最終的なﾀﾞﾒ出しを貰って早めに終わった。
そして収録日――
ｽﾀｼﾞｵには私と奏夜だけ。
本来は機材を扱うｽﾀｯﾌさんや、ﾀﾞﾒ出しなんかをするﾏﾈｰｼﾞｬｰさんが居るらしい。
奏夜はそれを断った。
仕事ならそうはいかないけど、今回は特別。最初から社長に話は通してあったしね。
「姫菜、大丈夫か？」
「はい」
凄く緊張してる……でも、奏夜がいてくれるから。
1人分の原稿を手に、ﾏｲｸ前に立つ。
奏夜は私の身長に合わせて、ﾏｲｸの高さを調節してくれた。
「姫菜、演じる時に原稿見ようとして顔下げるなよ。原稿は斜め前に持って、しっかりﾏｲｸに向かってｾﾘﾌを言え」
奏夜が1つ1つ教えてくれる。
あの叶 奏夜にこんな事教えて貰えるなんて、超贅沢……
こんな状況にもかかわらず、顔が綻ぶ。
ｽﾀﾝﾊﾞｲを終えると、奏夜はﾐｷｻｰﾙｰﾑに入っていった。
「まず、こっちで音量なんかの調節をする。本番だと思ってやってみろ」
「はい」
ﾏｲｸの斜め下にﾗﾝﾌﾟがある。
それが赤く点灯したら、録音の準備が整った合図。
一度ｾﾘﾌを言って、またﾀﾞﾒ出し。
そして、いよいよ……
「よし、じゃあ本番だ」
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