鏡に映るは鬼の影
[2.](1/6)
私は…何者なんだ…。
───様っ…
子供の、すすり泣く声が聞こえる。
ぼんやりする思考の中、そう思った。
──起きて、父様、母様…っ
悲願する様に…その声は次第に鮮明になっていく。
ふと、視界に広がった光景。
小さな納屋みたいな場所に、二人の人間がうつ伏せに倒れている
その二人を揺らしながら、少女は声をずっとかけている。
「父様ぁ…母様ぁ…っ!!」
泣きじゃくっている少女の後ろに、一人の男の子が現れた。
銀髪を揺らしながら、少女と同じくらいの背丈だ。
その目は何故か赤く…美しい容姿をもつ少年。
「………」
少年は暫く少女を見つめ、そしてにっこりと笑った。
───行こう***…
その先の言葉は聞き取れず、ただ少女は首を横に振った。
手を差し出す少年。
何故か少女は恐怖し、少年の横を走り抜けていった。
少年は力無く、差し出した手を下ろした。
そして……
「…何で一緒に来てくれないの?」
息がかかるほど近く…私の目の前で、赤い血の涙を流しながらそう言った。
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