眼鏡の下の素顔のキミは



 離れ離れ. ( 1/7 )


私の心はいつまでたっても冬のまんまなのに,季節は春を迎えようとしていた。


啓悟と別れてから一ヶ月。


当たり前だけど,一言も口を聞いていない。


ただ私が啓悟の背中を目で追ってただけ。


「古池」


勇人くんにそう呼ばれて振り返った。


「今日も一緒に帰ろ?家まで送ってくよ」


「ありがと」


私は啓悟のことを忘れられないままなのに,周りから見ると私と勇人くんはいい雰囲気に見えるらしい。


私はそんなつもり全くないのに…。


でも啓悟には私たち二人は付き合ってることになってるし,勇人くんと一緒にいなきゃ。


帰り道,勇人くんがお腹が空いたと言って,コンビニに寄ることになった。


そろそろ季節じゃなくなるもんな,と言って手を伸ばしたのは肉まん。


私と啓悟が半分こにして食べたあの肉まんだ。


「古池,いる?」


優しくそう問いかけてきてくれた勇人くんに,私は「お腹一杯だから」と嘘をついた。



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