夜桜に散る花の唄
誘惑(1/23)
━━━━━━━…
「……というわけで、沖田組長となんとかお話できて、仲直り(?)できたんですよ。」
「それは良かったな。」
花は昨夜のことを土方に話した
………勿論、沖田にされた行為については伏せながら
花は昨夜のことを思い出して喜びに顔を歪ませる
それにつられてか、土方も顔を綻ばせた
しかし、顔は綻んでいようとも心境は何故か複雑であった
沖田と最近不仲で話すこともなく、
ましてや笑顔なんて沖田に見せるはずもないそれを、
つい昨日まで土方だけに向けていたのに…
「小姓」いう役割をさせている特権で土方だけが独占していたのに…
また、
再び、
花の美しい笑顔が沖田にも向けられるようになる
土方はそう思うと何故か苛立った
(……何故だ。
いや、何だ、この気持ちは。)
土方は初めての感情に顔は微笑んでいても困惑していた
(……篠が総司との不仲が解消されて俺も篠と一緒に喜ぶはずであるのに…)
この、
うまく言葉に表すことのできない、
黒い、
暗い気持ちは何であろうか?
土方は今日も吹かれる篠笛の音に耳を預けながら、
ずっとこの感情の正体を探っていた
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