詐欺師のあいつ

序章(1/1)




その男の口から出る褒め言葉は


「…ほんとにかわいいね」


とてつもなく軽い




その男の口からでる悲しみは


「…今はそばにいてほしいな」


とてつもなく嘘くさい。


その男の口からでる喜びは


「…嬉しいな。朝から会えるなんて」



とてつもなく面倒くさい



その男の口からでる愛は


「君を愛してる」


とてつもなく重みがない。




「こっちを向いてよ。ゆいちゃん」



私のことなんか好きじゃないのに


好きなふりをする。



そんなこいつを私はこう呼ぶ。





「うるさいです…詐欺師」














詐欺師のあいつ


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