BIRTH

[ー変化ー](1/2)

高校受験をなんとなく乗り越え、この学園の費用の無駄としか思えない大きい校門を彼がくぐってから早３ヶ月・・・

そんな夏が始まったなぁーという声が聞こえ始めたぐらいの季節の頃、
１人の男子高校生が学園近くのスーパーから買い出しを終えて再び来た道を自転車で帰ろうとしていた。

「はぁ・・・なんだかなぁ」

国籍は日本、生まれも育ちも日本。
身長は１８０cmギリギリあるかないかぐらいで、
人並みには付いた筋肉、
そろそろ切ろうかなーというぐらいの短くもなく長くもない長さの髪、
その全体像を見ると特に特徴はないそんな風貌。
顔はまぁ整ってはいるが特にモテるというわけでもなく、
特徴という特徴がない。庶民の顔。
特徴があるとすれば常にやる気のなさそうな目くらいなものだ。

　　　　　かみや　ゆうま
そんな彼、神谷　湧真は大きな字で「事務用」と書かれた自転車を運転しながら深くため息をついた。

決して神谷はこの事務員のおっちゃんがつかってるダサい自転車にのっているからため息をついたのではない。
彼はいま生きていることが「はぁ・・・」だからため息をついたのだ。

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