隠密にするつもり……だったのだが、そう簡単にはいかなかった。
遺体を腐らせないように地下へ運んだ3人。人目になるべく付かないように、堺が持ってきた布をかぶせようとしたところで、急に冒険感覚で入ってきた永谷と紺野に見つかってしまい、あっさりとバレてしまったのだ。
「あ〜……。やっと目が見えてきた……。」
「藍ちゃん。大丈夫?」
聖人と陽菜は、藍里達から事件のことを聞いていた為、遺体が発見されたと騒ぎたてた紺野が言っても、それほど驚いた様子はなかった。その間に催涙スプレーの効果が切れた藍里は、やっとのことで目をぱっちりと開くことが出来た。が、目の周りはまだ赤いままだ。
「藍里。悪いニュースだ。」
「わかってる……。遺体、見られちゃったんでしょ?」
聖人の言葉に藍里が先に答えたが、それに対して、聖人は首を横に振る。
「いや。それもそうなんだが、さっき堺から知らされたんだけどな。さっき降りだした雨のせいで、土砂が崩れてここまでの道がふさがれてるってよ。おまけに、吊り橋が何者かによって焼かれて向こう側へ渡れなくなったらしい。」
「……つまり、私達はこのペンションから逃げられない……ということ?」
「……そうなるな。まぁ、土砂は思ったよりも酷くはないからすぐに何とかなるらしいけどな。吊り橋の件があるから、合わせて3日ほどかかるらしいぜ。警察がここに来るまで。」
聖人の言葉に、藍里は焦りも慌てもせずに、スクッと立ち上がると…。
「……3日……余裕だね。それだけあれば、何とか犯人を特定できる。」
と、目を光らせながら答える。