緑の魔女、銀の神官。
第一章〜銀の神官(1/6)


今より昔…ある国に暴君と呼ばれる王がいました。

暴君は自らの喜びの為だけに、誰よりも贅沢な暮らしを送り、またお金を得るために、国民に酷い労働をさせました。

暴君はずっと昔、王だった自分の兄を殺し、無理やり王になったのです。

民は苦しくても悔しくても、暴君が怖くて何もできませんでした。


しかし、ある日、遠い国から大きくなった前王の息子である王子が帰ってきました。


王子は暴君を倒そうと思います。


そのために、たくさんの仲間を集めました。

聡明な賢者の娘。
幼馴染の強い戦士。
愛情深い神官。

少しずつ、王子に協力してくれる民が、王子の元に集ってきます。

それでも、暴君の力は強大です。
あと少しだけ力が足りません。

なぜなら、強い魔術師がいなかったからです。


魔術師になるために必要な魔力を持つ人は少数で、何より暴君は国中で誰よりも強い魔術師を従えていました。



そんな時、1人の旅人がこの国に訪れました。

旅人は魔術師でした。

旅人は王子とこの国を救うために力を貸すことを約束しました。

三年後、多くの立ち上がった民と旅人の力を借り、王子は暴君を倒しました。


そして王子は新しい王になりました。



国は落ち着きを取り戻し、やがて豊かな国になりました。
国民は王子と王子の仲間たち、特に旅人である魔術師にとても感謝しました。


けれど、ある日魔術師は突然姿を消してしまいました。



それから、旅人の姿を見た者は誰もいません。


これは魔術師が消えてから、13年後のお話。

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