緑の魔女、銀の神官。
第二章〜若き王(1/3)


「遅い!!」

部屋の扉を開けると、王、リルージュが仁王立ちしていた。

「申し訳ありません」

アリィが膝をつこうとすると更に怒声が降って来た。

「何回も言わせるな!俺の前で膝をつくな、あと敬語も辞めろ」

「は………うん」

アリィが立ち上がり頷くとリルージュはフンと鼻を鳴らし、顎で大きなソファを差した。

リルージュ自身は机の前の立派な椅子に座る。

「今日は……どうしたの、何かあった?」

「なかったらお前を呼ぶのは駄目なのか」

「そうじゃないけど…」

アリィはばれないように小さくため息をついた。アリィ自身は仕事は山ほど残っている。

「……そういえば、リルージュ様はルリミディ様を知ってる?」

アリィの問いにリルージュが眉間に皺を寄せた。

「ルリミディ?あの女がどうした」

「今日、副神官長からルリミディ様のお話を聞いたんだ。リルージュ様の名付け親だって」

リルージュはしばらく黙った後、怒りを込めた声で言った。

「……二度とあの女の話はするな」

「え?何で……」

「黙れ」

低い声にアリィは驚き、黙った。




しばらく沈黙が続き、リルージュはポツリと言った。

「俺に大国から結婚の話が来た」

それで機嫌が悪かったのか。
アリィは思わず微笑んだ。

「よかったじゃないか。そろそろ身を固め……?!」

突然リルージュが立ち上がり、激昂した目でアリィを押し倒したのだ。

「お前、本気で言っているのか」

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