上へ2nd
[第五フロア](1/15)

イキト



聞き間違えるはずがない。


ドアが開いて、聞こえた声。


「しろーい」


聞き間違えるはずがない。


ハルカの声。


走り出す。

同じタイミングでカイも走り出したから

確信する。


ハルカがいる!


廊下は気持ち悪いくらい真っ白で

足元にピースが落ちてるぽくて

何回も踏んだ。

構ってられるか。


廊下を抜けると真っ白な部屋があって

中にテーブル

奥にエレベーター

真横と正面に、ガラスの壁。

真横の壁の向こうにはもうひとつのテーブル。

あと、もうひとつの廊下。


一瞬で考えて

ガラスの壁を叩いた。


「ハルカ!!

おい!ハルカいるか!?

ハルカ!!!」

「ハルカ!

いるなら返事しろ!!」


カイも隣で壁を叩く。

聞こえるか?

いや聞こえるはず。


すぐに

不安定な足音が聞こえて

廊下から


……イキト……カイ……!」


ボロボロになった

ハルカが出てきた。

化粧も髪型も制服も崩れてる。


「ハルカ!」

「イキト!!」


今にも倒れそうなくらい

足を震わせながら走ってきて

ガラスの反対側にぶつかってきた。


「イキト!イキト!」


ボタボタ涙を流して

ガラス越しのくぐもった叫び声が聞こえる。


今すぐ

抱きしめて

涙をふいてやりたい。


でも触れられない。


「ハルカ……


カイが呼ぶと

ハルカは泣きながら

カイの手に自分の手を重ねた。


そして

廊下から出てきた人を見て

カイが息を飲んだ。


「せい、ら」


その名前に思わず顔を上げる。


あのときと変わらない

全く同じ姿で

青羅が立っていた。


青羅がハルカを守ったのか

すぐにわかったが

すぐに

やばいことに気付いた。



「人数が溢れる……



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