紫煙の記憶
[3@持田 蒼](2/4)
「わりぃ、今日帰るわ」
カーテンから漏れる外の微かな明かりに照らされたのは、先程まで情事にふけっていた相手。
その男はベッドの周りに落ちていた服に袖を通しながら帰宅すると私に告げた。
「あーうん…」
「ごめんな、蒼」
いつものように私の頭をくしゃりと撫でる。
けだるい身体にシーツの冷たさがやけに気持ちいい。
ゆっくりと身体を起こして私は出ていく相手の背中を見送った。
バタッと締まりカチャリと施錠されたドアをじっと見つめて、またベッドに身を沈める。
先程までいた男の温もりにキュッと心臓が掴まれた気がした。
あいつと私はそんなに単純な関係じゃない。
そんなことを思いながらゆっくりと意識を手放していった。
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