[亡霊](1/10)
俺と麻理抄があとがきの恐怖から逃れたその夜、伊丹の通夜が行われた。
麻理抄は終始泣きっぱなしだし、初瀬も拳を握りしめて悲しみと悔しさを表情に滲ませていた。
俺が伊丹と会ったのは、2回だけだった。
だけど、過ごした2日間の濃密さを考えると、参列しているクラスメートよりも多くのものを共有した気がする。
あの小説の中で、杵島静人は小野田美千留の死を信じられないと言っていたが、俺もまた突然の伊丹の死を受け入れることができないでいた。
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