[はざまクロ](1/7)
ピンポーン
マンションの一室の前。
俺は呼び鈴を押し、真実への扉が開かれるのを待っていた。
初瀬に調べてもらった住所には、今も『羽村』の名前で表札が出ていた。
幸い、羽村嘉三は引っ越しすることもなく、今もここに住み続けているようだ。
「はい、羽村ですが?」
インターフォン越しに中年女性の声がした。
羽村の母親だろう。
「すいません。俺、嘉三さんの中学の後輩で、桜井っていいます。嘉三さん、いますか?」
ガチャッとドアが開いた。
現れた女性は、目の下に隈ができており、どこかくたびれた空気を纏っていた。
「嘉三なら5日ほど前に他界しましたが……」
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