(BL)空間 U
[空間 -彷徨う記憶-](1/13)
 
飛び散る光



目が覚めればそこは暗闇。
「ユキ」

呼ばれて見れば、黒い布を纏う見慣れた男が心配気な眼差しでユキを覗き込んでいた。

「ライ…ア?」

いつから寝ていたのか、ぼんやりと晴れない頭で思い巡らせ、ライアの頬に触れる。

「アンタ…すげぇ泣きそうなんだけど…
ダイジョブ?」

ちょっと笑って見てやると、ますます泣きそうな表情になって慌てた。

「何、アンタ…変」

「記憶を辿るのを止めろ」
「…え」

言葉を遮りこの死神は何を言うのか。
ユキの体を力を込めて抱きしめて、
ライアは「俺が悪かった」と呟いた。

「…刀根川夜人との出逢いを憶えているか?」

「何言ってんの
そんなの当たりま…











え……」

ユキはダルそうに腕を動かし額に手をやる。
困惑した頭でまるで昨日のことのように記憶していたヤトとのすべてを探そうとした。

しかし、霧がかかったように曖昧で不確かでユキは涙を溢していた。

「ラ、イア…」

そして気付く、自分の体が纏う光の粒に。

「これは、何」

「……お前が思い返す記憶が消えている」


胸の内が冷える。
ここにいる自分は記憶でしかないのに、
その記憶が消え失せてしまったら……。


やけに眠い。
落ちたこの先には……。

<font color="#87cefa">「教室…戻るか」</font>
「ユキ!」

「ど…ぅしたらいいんだよ!

イヤだ消えたくない
このまま、アンタ置いてッ
ヤトをなくして…」


あの時、
あの別れの日。
泣くのは最後だと決めた筈なのに。
次から次へとこぼれて落ちる涙に、
ライアが力一杯ユキを抱きしめ、
少しでも安堵を与えるようにくちづけをした。




[飛び散る光]



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