(BL)空間 U
[空間 -構築される日-](2/20)

君と出会う日



前の晩、緊張(と云うのはプライドが許せない)からか眠れずに、目が覚めれば大慌てだった。

学校に辿り着いてみると、まだ余裕がありそうで、ざわめく校内を見取り図を確認して歩いてみる。
人の流れる方向へ歩いていたつもりが、いつの間にか誰もいない静かな場所へ出てしまった。

(…公園?)

手入れのされていない草木の繁るそこに大きな樹があり、
その下、一つのベンチに制服を着た男が座り本を読んでいた。
その姿に、空間に何故か一瞬目を奪われた。

『ただ今より入学式を開始します』

そのアナウンスに腕時計を見る。
教室から移動するという、団体行動をすっかりと忘れ俺は慌てふためいた。
何にしろ講堂へ行かないと、と辺りを見渡すも、ここが何処だか分からない。

ガサッ

土を踏みしめ、草花が音を立てる。
それに気付いたのか本を読んでいる男と目線が合う。
瞬間ドキリとして、思わず視線を逸らしてしまった。

とにかく目的地へ…。
しかし分からないことは分かっている。
上級生らしきベンチに座る男に声を掛けることにした。


「え、あ〜…
ここから出て、左行って突き当たる渡り廊下を真っ直ぐ…」

手で礼を言い、言われた方へ向かった矢先、慌てた声を聞いた。

「違うよ
こっち」

手を取られ、前を歩く俺より背の高い黒い髪が風に揺れて、綺麗だと思った。



[君と出会う日]


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