スターダスト
[何の為に](1/6)



1ヶ月ほど経っただろうか。



ヤナセ教官の鬼畜トレーニングのお陰で、俺はかつてない筋肉を手に入れた。

つっても元ひょろひょろが一般男性ちょっと上レベルの体力を得た程度ではあるが。


教官曰く「最低限中の最低限の体力」を身につけた俺は、皆と少し遅れた武器トレーニングをようやく開始することとなった。



「接近と遠近、共に出来るようにならねばならない。遠近戦は主に銃を、接近は自分の使いやすいもので良い。」

「武器なんて使ったことないんですが。」

「剣はどうだ。見栄えがする。」


見栄えって。

真顔で言うもんだから笑っていいのかいけないのか分かんねえんだけど。


「冗談だ。笑ってもよいぞ。」


相変わらずのエスパーの持ち主だ。

だが初めて出会った頃に比べ、幾分角がとれてきた。



「アルトはトンファーで前衛、ケイスケは銃で遠距離から、リリアは鞭や短剣で 中距離から、といった陣の組み方だと聞きました。」

あぁ、お前も中距離でリリアの補佐につけるように目標を掲げる。」

「はい。」

「持ち前の容量の良さを生かし現場での緊急事態での指揮をとれるまでにしたい。戦闘に思考を持っていかれては困るからな。」

「頑張ります。」



銃を構えた。


初めてこの鉄の塊に触った時に感じた重さはもう感じない。

弾を撃った時の振動も、なんてことない。




数ヶ月前の俺には考えられなかったことだ。



着実に、兵士への道を歩んでいる。


考えが追いつかぬまま、身体だけがただ成長し続けている。


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