初めての修学旅行(1/26)
キーンコーンカーンコーン…
「今日は、修学旅行の班決めしろー。」
勝手にやってくれ。と言わんばかりの 適当なホームルームの時間。
「うわっ、楽しみ過ぎる。」
「雛、一緒の班ね。」
真奈美と司のテンション高い声が聞こえてくる。
行き先は、
「沖縄とか、めっちゃ行きたかったんだよね。」
どこから持ってきたのか、真奈美の手には 沖縄の本が。
ペラペラとめくって、綺麗なビーチの写真を見せる。
「ここ、ここに行きたい。」
そこには、恋人岬と書かれていた。
写真を一目見て分かる、綺麗な場所だと。
教室の隅で、腕を組みながら 教室内を見るフリをして居眠りしてる先生の方を見た。
先生と行けたら……
いや、そんなリスキーな事はできない。
「海がめっちゃ綺麗だね。」
真奈美と司に向き直った。
「俺はサーターアンダギーが食べたい。」
「それ言いたいだけでしょ。」
2人のやり取りを微笑ましく見ながら、もう一度 先生の方を見れば、目が合った。
寝てると思ってたから、すぐに視線を戻す。
ただ、目が合っただけなのに、いけない事をしてるみたいで……
「雛、顔が赤いぞ。」
司に心配されるほど、動揺してしまった。
p.317
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