冗談に聞こえない(1/28)
5限目の数学。
お昼を食べた後で、お腹もいっぱいで ちょうど眠たくなる時間帯。
その上、呪文のような数学の公式を並べられたら、寝てくださいと言ってるようなもの。
いくら、神谷先生の授業だからといって、眠気には抗えない。
周りを見ても、頭が揺れている生徒が多い。
司に至っては、机にうつ伏せてて、もう熟睡中だろう。
私も……
そう思って、目を閉じた時、
「回ってくから、分からないとこあったら、言えよ。」
先生の声が遠くから聞こえてきた。
教室内を歩く先生の足音が聞こえてくる。
たまに、バシッと教科書で頭を叩かれる音も。
「寝てんなよ。」
「ってー」
あ、司の声…
怒られてる。
目を閉じながら、耳で先生の足音を辿りつつ、起きてるフリをする。
バレないように…
だけど、
「ここが分からない?」
フワッと甘い香りと私と同じシャンプーの香り…
そっと、先生の手が私の手に触れて、目を開ければ、すぐ横に先生の顔が。
っ!
p.289
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