監禁から始まる恋って、アリですか?

逃げられない(1/20)









その日の夜、私は泣いた。


泣いて泣いて、泣き続けて……決めた。


先生と別れる……と。


先生を元いた場所に戻す為に。


先生の事が大好きだから。


先生の為に……


とか言いながら、私は怖いんだ。


先生に捨てられるのが。


親に2度捨てられた私は、もう誰かに捨てられるは耐えられない。


それが、先生なら尚更……


きっと、壊れてしまう。


だから……捨てられる前に、逃げるんだ。


臆病者。


自分でもそう思うけど、親が決めたとはいえ、婚約者だっている。


小泉先生を、きっと傷付けた。


これでいい……


きっと、これでいいんだ。


自分に言い聞かせるように、小さく呟いた。





「今日、真奈美の家に泊まりに行ってもいいかな?」


「え?全然いいよー。」


真奈美の了承を得ると、席を立った。


それから、向かった先は、先生がいる準備室。


コンコンッ


「………開いてる。」


先生の少し低い声が聞こえてくる。


ただ、それだけで、胸が締め付けられるんだ。










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