好きなんかじゃない。(1/23)
鎖も足枷も、幻だったかのように跡形もない。
先生は?
時計を見ると、10時を過ぎていた。
……あ、学校。
今日は、月曜日だから、仕事だ。
でも、何故 足枷を解いてくれたの?
ベッドのサイドテーブルには、いつものように美味しそうな朝食が置いてあった。
けど、いつもとは違う物が…
一枚のメモ。
『雛へ
おはよう。
もう縛らないから、帰っていい。
雛が好きだから、
壊れる前に俺から逃げてくれ』
……なにこれ
何故か怒りが込み上げてくる。
ここに無理矢理連れて来られた時よりも。
ムカつく。
ベッドに置かれた、洗濯されている制服に着替えて、飛び出して行きたい。
ずっと、この部屋から出たかったはずなのに…
自由になりたかったのに…
何故か無性に腹が立った。
夜中に抱き締めたのは…
好きだと言ったのは……
何だったの?
p.74
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