ピエロに恋して。

ピエロと線。(1/22)



よく眠れた。










霧島さんの優しい腕の中で
眠りにつくことが出来たから。










あたしが眠るまでずっと
優しく髪を撫でてくれていた。










シーツにまだ残っている温もり。
一緒に眠ってくれていたのが分かる。










「…うん。
…あ、彼女は何も知らないから。
ああ、頼むよ。悪いな」










リビングから霧島さんの声が聞こえて
あたしも身体を起こして歩いていく。










「おはよう、霧島さん」



「おはよ」










パチン、と携帯を閉じて
こちらに笑顔を向ける。
誰かと電話していたらしい。










「あの…昨日はありがとう」










なんか、気まずい。










昨日のことを思い出すと
なんかすごく恥ずかしくなってきた。



冷静に考えてみるとあたしは
ものすごく恥ずかしいことを
言ってしまったんじゃなかろうか。










触れてくれないとか
傍で寝てくれないとか…。



なんか欲求不満みたいな…。
どんだけなんだ、あたし。










だからなんか気まずい。
霧島さんと目が合わせられなくて
ありがとう、とか
在り来たりな言葉しか発せない。










「感想は?」










ソファに腰かけるあたしに
笑顔の霧島さんがそんな質問。





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怖いです、成瀬社長。

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