初恋のジンクス

新生活(1/15)






翌朝、洗面所の鏡の中の自分をまじまじと見る。シミが無いし、10代特有のニキビが頬に2つ。化粧をしなくてもいい肌に、ちょっと感動した。

あれから3度寝くらいしたけど現実は変わらず、やっぱり私は中学一年生で、身体も10代の身体になっている。
思春期で少し太り始めた頃の身体に。
この、お腹の辺りとか。頬っぺたとか


私の変な新生活が始まった。



「ほら遅刻するよ!まだ熱でもあるの?」

「んーん!ご、ご飯食べるね」

?何珍しい。いつもご飯食べないで行くくせに」


そうだ。中学生の頃は朝ご飯食べない派だった気がする。
高校生になってから朝食べるようになったから、つい。って、やっぱり中学生に身体はなっても24歳の私が何処かにいるんだ。


「たまには?ほらっ朝抜くと太るって言うし!」

「じゃあたまにじゃなくて毎日食べなさい」

「は〜ぃ」

「お母さん今日も夕方遅くなるから、おばあちゃんと一緒にご飯の用意お願いね。お父さんも遅いと思うから」

「はいよー」


うちは小さい頃から両親共働きだから、夕方家に帰るとおばちゃんだけで、そのせいか凄いおばあちゃんっ子だった。
お姉ちゃんも5つ上だから、外に遊びに出かけてることが多かったし、私は学校から帰るといつもおばあちゃんの畑仕事を手伝った。
夏になると夕暮れの中、グニャリと曲がったキュウリとか茄子とか取って、手に棘が刺さったりしておばあちゃんに抜いて貰ってたっけ。

私が高校生の時におばあちゃんは亡くなり、あんなに広かった畑も家庭菜園くらいの規模に縮小してしまった。


「いってきまーす」

「いってらっしゃい」

おばあちゃんの、優しい声。


まさかまた聞けるなんて思ってもみなかった。ほんの少し、目頭が熱くなるのを感じた。





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