兎さんは帰らなければいけない時間になったらしく、また会う約束をして握手をした。
「つぎはいいものもってくるね」
「楽しみにしてる」
何となく想像が出来た。兎と月と言ったら、ね?
次の満月はいつだろう。あといくつの夜を独り過ごせばいいんだろう。
今から待ち遠しかった。
帰り際、兎さんは振り返ってこう言った。
「あしたね、こうえんでね、しんじゃうんだよ」
あまりにも無邪気な笑顔。恐ろしいことを言ったはずなのに。
でも、今日兎さんが言ったことで、一番分かりやすい言葉だった。
そうして兎さんは、月に帰って行った。
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